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特集のねらい [水処理における膜分離技術]
尾崎博明 大阪産業大学 工学部都市創造工学科

 1960年代初頭に逆浸透法がアメリカで開発されて以来、水処理分野における膜分離法は1980年代前半にかけて、海水淡水化や超純水製造などの限られた用途に用いられていた。その後1980年代後半に欧米で膜による浄水処理が試みられ、日本でも1991年から「膜を利用した高度浄水システム開発研究(MAC21計画)」が進められて以後、浄水、下水、排水の処理を含めた同法の適用対象は従来の用途を越え大きく広がってきた。
 このように膜分離法が最近注目を集めてきた背景としては、近年、性能が良く、用途に適した膜が開発され、有機、無機を問わず、ほとんどの物質を高効率に分離することが可能になったことが挙げられる。また、スケールメリットが無いかわりに小規模施設であっても設置が可能であること、新たに優れた膜モジュールが開発された場合、既存のものと取り替えるだけでほぼ対応できるユニット性を有していることも重要である。膜分離法を利用したシステムへの大きな期待は、他法と比較して高品質の水を生産すること、その利用が水需給のひっ迫化に伴う水再生利用に対する社会的要請に合致すること、そして膜分離法を導入することによって従来の水処理システムを簡素化すると同時に、高度化することにあると考えられる。
 膜分離法が適用される種々の分野の中で浄水処理分野では、より高品質の水道水の提供と水道施設のコンパクト化を目指して、すでに四百数十箇所に膜ろ過施設が導入され、今後さらに大規模な施設が建設されると期待されている。し尿処理においても高負荷生物学的脱窒素法が導入されるにつれ、膜分離活性汚泥法(MBR,Membrane Bioreactor)が主流技術として採用されている。高濃度有機物質を含む工場排水もまたMBRの重要な適用対象である。また、膜分離法の浄化槽への適用については小規模であることから多くの実績があるものの、下水処理では水量が多いことや膜ファウリングの問題があるためその適用は遅れていた。MBRの導入によりようやく小規模下水処理場への適用が開始されたところである。今後どこまで大規模な処理に適用できるかが課題であるが、その適用は下水の高度処理や再利用の観点から、今後ますます拡大していくものと考えられる。
工場排水などへの直接膜分離法の適用例については、電子工業排水やメッキ排水の処理をはじめ水再利用や有価物回収を目指した多くの例がすでにある。さらに、ごみ焼却場汚水や浸出水、医療廃液など有害物を含む水への適用も進んでおり、高度な処理が可能であるという特性をいかせる分野への応用が今後さらに増加すると考えられる。
 一方でMBRを別にして、膜分離法はあくまで固液分離法であることから濃縮水の処理が必要である。オゾンや光触媒分解法のような物理化学的処理法や微生物処理法との併用法の開発もまた重要な課題である。また、どうしても直面する問題として膜のファウリングがあげられる。最近では低ファウリングの膜も開発されてきているが、実処理では膜ファウリングのために膜の交換を余儀なくされる例も多い。
 このように、今後さらに検討が必要な種々の課題があるものの、膜分離法は21世紀の水処理技術として各方面から注目されている。今後の地域水循環システムを構築していくために、膜分離法がさらに発展していくことを期待したい。


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