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特  集
1 消毒
金子光美 立命館大学

1.まえがき
 日本の水道水の水質に関して、現在はもっぱら発ガン性物質に問題点が集まっている。しかし水道が感染症対策として発展してきたという原点は厳守すべきであり、安全な水の供給という水道システムにとって消毒の重要性は現在でも考慮すべき最重要要件である。消毒の不完全な操作により、飲み水による感染症の集団発生はときどき起きているのがそのことを示している。

2.日本の消毒に関する法的対応
 わが国では法的には塩素消毒が義務づけられている。遊離塩素濃度0.1mg/Lもしくは結合塩素0.4mg/Lを維持する必要がある。赤痢菌やコレラなどの古くから知られる細菌性病原体にはこれで十分対応できる。この基準を守らなかった場合にしばしばアウトブレークが起きている。塩素処理の問題点は副生成物としてトリハロメタンなどの有害性の有機塩素化合物を生成することと塩素消毒では不活化されない病原体が問題になってきた事である。前者に対しては2000年より補助的手段として二酸化塩素を用いることが認められた。その場合二酸化塩素と亜塩素酸の濃度が0.6mg/L以下とするとともに最終的には塩素を最終的に注入することが求められる。

3.消毒に関する最近の課題
 塩素処理で消毒の目的を達成できにくい病原体を考慮する必要が生じてきた。その背景として(1)クリプトスポリジウムなど塩素抵抗性の強い病原体によるアウトブレーク、(2)ウイルスによるアウトブレーク(3)微生物テロへの対策などがある。
3.1 クリプトスポリジウム対策
 1996年に人口13800人の埼玉県越生町で8812人のクリプトスポリジウム感染症が発生したのを機に、クリプトスポリジウム対策が取られた。当原虫の塩素に対する99%CT値(消毒剤濃度×接触時間)は7200mg・min/Lであり、通常の塩素処理では不活化できない。そのため、処理基準で対処することにした。汚染のおそれのある水に対して濾過水濁度を0.1度以下にすることにした。これに対応するために小規模浄水場では、分離膜を用いて処理するところが増えてきた。小規模の浄水場では、分離膜を用いる施設が設備費と維持管理費による経費的負担を高めるので、簡易にクリプトスポリジウムを不活化できる紫外線照射が次のように導入されることになった。ただし、その場合も残留塩素維持については従前通りである。紫外線は1mJ/c?と極めて少量で2logの不活化が可能であり、その効果は水温に影響されない。電源のON-OFFだけで操作できるので維持管理が簡単であり、簡易の消毒に適しているが、照射後には塩素などの残効性のあるものを添加する必要がある。日本における新たなクリプトスポリジウム等に対する紫外線適用条件は、指標菌が検出されたことのある地下水など地表水でない原水に対して照射量10mJ/c?以上、濁度2度以下、紫外線強度計及び濁度を常時測定する濁度計を備えることである。
3.2 ウイルス対策
 日本ではウイルスに対する考慮はあまりなされていなかったが、ウイルスに関する情報が集まり、また2006年秋田県二ツ井町の簡易水道で29人がノロウイルスによる下痢症に罹る事件があり、ウイルスに関する関心が高まってきた。ウイルスはクリプトスポリジウムほど塩素抵抗性は強くないが、細菌より一般にCT値で1桁ほど大きくなる程度に高い抵抗性を示す。したがってウイルス汚染の影響を考える必要のある場合は、その点を考慮して注入塩素量を少し高めるとか接触時間を長くするなどの考慮が必要がある。
 日本では脱臭などの高度処理を目的としてオゾンが用いられているが、オゾンはウイルスの不活化効果が高い。そのため、消毒を目的としてオゾンは注入されていないが、高度処理をしているところでは、結果的にウイルスに対する効果は期待できる。
3.3 微生物テロ対策
 微生物テロには消毒抵抗性のある病原体が用いられる可能性が大きい。日本で現在行われている消毒操作だけでは微生物兵器には対応しきれない場合が考えられる。塩素濃度を高めるだけでは安全性が保証しきれない病原体もある。水道システムへの病原体の投入防止対策、検査体制、魚などによる監視体制などのほか消毒剤の高濃度注入、オゾン注入、膜濾過の導入などを考慮した総合的対策が必要である。日本では浄水場の実情に応じていろいろな対策が取られている。


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